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リブレットは砂漠で出会った救世主。
夜も抱き締めて眠りたいほどだ!

Libretto60 東芝
●価格/25万8000円 ●CPU/ペンティアム(100MHz)
●メモリー/16MB ●HDD/810MB
●グラフィック/6.1インチTFTカラー液晶、640×480ドット(1677万色)

トリックスターのひらりん、暴言を吐くこと

ひらりん
ひらりん
PDF
これがPDFファイルの美しさだ!
見惚れるほどだろう?
 やあ、よく来たな、読者のボーイズども(こらこら、こらっ、唐突じゃないかっ。いきなり“よく来たな”もないもんだ! すみません、変なカツシン似のパンツ男のイラスト見て、ぎょっとした読者の皆さん。深く知りたい人は【注1】を読んでください。さあさあ、散って散って、往来の邪魔だよ)。
 というわけで、自己紹介する。わたしは平井和正、作家にして言霊使いである。書籍だけでなく、アスキーデジタルブックで『月光魔術團』や『幻魔大戦』をアップしている【注2】。おまけにわたしはリブ者である。なぜリブレットかというと、頼まれもしないのに、只働きでPDFファイル宣伝拡販員をやり、アクロバットリーダー発売元アドビさんには無断で、“国会図書館数千万の蔵書の灰塵化をPDFで救え運動”を提唱し、ひとりで国家的大事業を展開しているからである。詳しくは【注3】を読んでくれい。
 なぜリブか、説明する。わたしは、もともとリブ者ではない。諸般の関係者たちにPDFファイルが最高のデジタルファイルだと説明するために、超小型ノートパソコンのリブレットが必要だったからだ。
 PDFファイルの美しい透過光で視覚的快楽をもたらす画面、すんばらしい泉谷あゆみのイラスト入りデジタルノベルの画面は、百万遍口で言ったってだれも理解してくれない。が、実物を見せれば一発で全員に理解を得る。賢いヤツが昔からそれを“百聞は一見に如かず”と言った。
 実感がすべてに優るのだ。で、憚りながらリブ者だ。重い重い肩の骨を砕くようなノートパソコンにへこたれたわたしにとって、リブレットは砂漠で出会った救世主そのもの。いや、それよりもリブレットはキュートで可愛い。夜も抱き締めて眠りたいほどだ。
 論より証拠、リブレットを見せられた人間は、みんなリブレットに魅せられる。それよりもちんまりした画面で読むPDFファイルの虜になる。ボーイズよ、デスクトップの前に正座して巨大なモニター画面で読書なんかできるか? できっこない。たちまち頭痛ガンガン目はチラクラ。どでかいモニター画面から放射される電磁波はボーイズの頭蓋骨のちょうど中心でフォーカスを結ぶ。その電磁波がマイクロウェーブだったら、覿面にボーイズの脳は煮え上がるぞ。電子レンジの原理だな。
 駄目だ駄目だ、どん臭いデスクトップなんかうっちゃって、すぐに小粋でキュートなリブを片手に、街へ出よ。これからはアウトドアの季節だ。リブで読書なんて、お洒落ではないか(いかんなあ、なんとなくひらりんの波動が混じってきたぞ。ボーイズどもも気をつけよ)。

第一ステージ
リブレットのHDDを大容量ハードディスクに載せ換えること

 前フリが長すぎたようだな。別に原稿料稼ぎをやっているわけではないぞ。わたしの稿料は規定では一枚50万円だ。いやんな〇日新聞社などの記者がとち狂って原稿依頼の電話をかけてきた時に、話して聞かせるためだ。この楽しみは捨てられん。
 下の写真を見てくれい。リブレット60、とっくにカタオチだ。ワシはこれをなんと破格的大安値の8万8000円で購入した。ネットのサーチエンジンで、リブ者の掲示板を発見、大安値の情報を得たのだ。リブ者は一度は覗いてみよ(【注4】)。ただちにネットで発注したが、いつまで待っても現物が到着が到着せん。これがインターネット商売の弱点だぞ。発注と確認がワンセットになっていないと、自分のオーダーが通ったのかどうか、さっぱりわからん。後記するが、『DRIVECOPY』というソフトをやはりネット通販で手に入れた時も、同じトラブルに嵌まり込んだぞ。ネットビジネス、もっときちんとやらんか(すっかりひらりん化している。うーむ、なんとか挽回せねば)。
 ひらりんが大喜びで雀躍りする中、大容量ハードディスク積み換えにとりかかる。ここで警告! 一度でもノートの裏蓋など一部を開けたら最後、保証期間中でもすっ飛ぶぞ! ノートいじりは本人の自己責任だ。喜べ、後は煮ようが焼こうが、おぬしの勝手だ、むふふふ。
 ワシがハードディクを奪ってきたのは、アキバの有名店『TWOTOP』だ。ノートパソコンのハードディスクは2・5インチでコジンマリしとる。リブレットが要求する厚さは8・5ミリだが、9・5ミリ厚のIBM製品でも間に合うぞ。ただし、力任せにめりめりと押し込んではならん。そのあたりは女の子を相手にする時のように、十分な慎重さが必要だな。
 リブレット60の元のハードディスクは、容量わずか810MB。いまどき810なんて、最初から巨大アプリで占領されて、アキ容量は床下に少々といった感じだな。いま主流のリブ100ですら、2・1GBちょっぴりだ。東芝の連中、もっと太っ腹にならんか。戦争に負けるぞ。
 ここで休憩。ひらりんがアイコラを見に行った隙に、ようやくわたし>平井和正は言霊を取り返した。一度ひらりんが出てくると、トリックスターだけに手ごわいのだ。今度アスキーの平井和正公式サイトで『ひらりん箴言録』を連載するなんてほざいていた。バチガミというのは怪しいが、やっぱり手ごわい相手で、わたしにとってのハイド氏症候群だな。

換装するHDDは、代価フミニジレ!

DYKA23240
IBMのハードディスク『DYKA23240』。
容量は約3GB、回転数は4300RPM。
HDD
蓋のネジをゆるめるだけで、
厚さ9.5ミリのハードディスクを
なんなく収容することができる。
ただし自分の責任において、
するように!
 TWOTOPは良心的な店である。IBMのDYKA23240(代価フミニジレと覚えておけ。店員の前でフミニジレくださいというのも面白いぞ。あっまたひらりんだ)を欲しがると、どこのメーカーのなんという機種に載せるのか、としつこく聞かれる。BIOSによっては、ハードディスクを認識しないという事故が起こるのだ。
 ここで「リブレット60」と返答すると、23240は厚さ9・5ミリ、リブレット60は8・5ミリ厚のハードディスクでないと収容できない、と揉めそうなので、適当な答えで良心的販売員を誤魔化すのだぞ。「無理やりねじ込むと裂けます」なんて言われそうだからな。
 しかし、オッケーだ。蓋のネジをすべて緩めておく。少し蓋が浮いた感じになったところを、ゆっくりと挿入して行く。なにしろ9・5ミリを収容するように出来ていない相手だ。ゆっくりゆっくり、それこそ慎重にな。決してオイルなど使うなよ。すまん、ちょっと下品だったな。
 ほら、でけた! 断じて行えば鬼神もこれを裂く、いや避くだったな。なんのことはない。ちゃんと相手に合わせて収容できるようになっとるのだ。お店の店員の慎重すぎる忠告なんぞ無視してよかったと思うであろうが。リブレットのBIOSは、気抜けするほどの容易さでIBMの代価踏みにじれを認識してしまったぞ。これは余談だが、リブレット70は最初から9・5ミリ厚のIBMハードディスクの挿入を許すようになっとる。なぜかといえば、リブレット70のハードディスクを引っ張りだしたところ、ちゃっかり9・5ミリ厚のハードディクが最初から納まっておったからだ。ぎょっくん、だな。

ひらりんからのやさしい注釈集

【注1】
 言霊使い平井和正が28年ぶりに書いたマンガ原作『バチ★ガミ』の主人公。常にパンツ一枚で、神出鬼没のトリックスターである。パンツ男カツシンへのオマージュである。
【注2】
 終了。
【注3】
 言霊使い平井和正は、美麗なこと他に及ぶものなしのPDFに取り憑かれて、PDFの走狗と化した。平井和正は虎男だから走虎だな。
【注4】
 リブ者の巣窟のような掲示板はあちこちにあるが、このボードは初心者と古強者が調和している居心地よさをもつ。きちんと礼儀を守れば、大抵の質問に誰かが答えてくれる。
協力:週刊アスキー編集部、イラスト:余湖裕輝
<週刊アスキー 1998.9.10掲載>
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